「リスク・コミュニケーションについて」 2013.1207.勉強会資料より

安全危機管理を考えて行く中で、リスク・コミュニケーションは欠かせないことです。
なぜ、リスク開示ができないのか、危機(クライシス)に鈍感になるのか、
なぜ、隠蔽体質に陥るのか、なぜ、死亡事故を起こすような組織体制になってしまったのか、                    「特別な事故」と捉えられ、他人事として考えられてしまう心理のメカニズムなど・・・
事故事件から見えた様々な問題点を人の「意識」に焦点をあて理解を深め議論をしました。
リスク・コミュニケーションの7原則について保育者向けに改編とありますが、全ての組織・社会活動に通じる事だと思います。
勉強会のレポートは、現在作成中ですので、後日、報告させていただきます。

◆リスク・コミュニケーションとは・・・
人間、組織のすべての活動には、ベネフィットの一方で、リスク、コストがある。
予測されるリスクと対策について、事前に伝える事=リスク・コミュニケーション

◇リスク・コミュニケーションの7原則
※国際的に用いられている7原則を「保育者向け」に改編

  1. 保護者を「真のパートナー」として受け入れ、巻き込む
    「そんなこと、あたりまえ!」と思われるかもしれませんが、「子育ては他人ごと」「育児は園にまかせきり」になっている保護者もいます。気持ちの上だけではなく実際に、「保護者と子育てを共有する」コミュニケーション行動をとっていかない限り、保育の価値やリスクについて伝えていくことはできません。
  2. 保護者からのシグナルに耳を傾ける
    「なにかありましたら、ご意見箱にどうぞ」ではなく、様々な場面で保護者から送られてくるシグナルに 応えながら、「また、いつでもおっしゃってくださいね」と言葉にしていきましょう。
  3. 正直に、率直に、隠し立てをしない
    嘘や隠しごとは不信を生み出します。一度生まれてしまった不信の払拭がとても難しいことは、実験などからも明らかになっています。リスクについては、言葉も態度も率直に。
  4. わかりやすい言葉で、共感をもって話す
    会話や園だより、クラスだよりの中で、意識せずに保育用語、教育用語を使っていませんか?
    こちらは伝えている「つもり」でも、保護者にはわからない、伝わらない言葉が、実はたくさんあります。 こうしたことも、不信や不安につながりかねません。
  5. 準備を周到にする。効果を評価する
    リスク・コミュニケーションは、行き当たりばったりでするものではありません。
    発信する情報の内容や言い方(書き方)、目の前にある課題への対応方法をしっかり考え、効果を予測し、実行した後には効果を評価していく必要があります。
  6. 信頼できる他の組織と協働する
    他の施設や行政組織と連携が不可欠なのは、言うまでもありません。
  7. マスコミのニーズに応える
    今の日本で、もっとも影響力を持っているのはマスコミです。組織としては、マスコミに対して積極的な、そして戦略的なかかわりをしてくことが必要です。

◆安全、安心
安全:物理的、行動学的に計量可能。日々、つくっていくもの。
安心:主観=遺伝(根本的な性格)、経験、教育その他による「安全・安心をもとに」「安心してください」というだけでは保障できない。
保育園・幼稚園の間の「安心」は、日々の相互の信頼感のもとに培われる。
この醸成のために、リスク・コミュニケーションが必須。
※「不安」は、人類の生存にとって不可欠。

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